自然の調整は美しい。
酸性とアルカリ性、塩基は厳密にはアルカリではないが、ここではアルカリと考える。
酸とはH⁺(水素イオン)を放出するもの、塩基とはH⁺を受け取るものです。
PHは血液や細胞外液の水素イオン濃度で決まる。
PH1が最も水素イオンが多く酸性、PH14最も水素イオンが少なくアルカリ性、
PH7が中性です。我々の血液では、PH7,35~7,45弱アルカリで維持されています。
これが酸塩基平衡です。
ではなぜ、この範囲で維持されているのか?
この範囲が、体の中の代謝作用などで活躍する酵素が活性化するからです。
重要になってくるのがこの式です。
CO₂+H₂O⇆H₂CO₃(炭酸)⇆H⁺+HCO₃⁻
CO₂が多いと酸性に傾け、HCO₃⁻重炭酸イオンor炭酸水素イオンが多いとアルカリ性に傾けます。
CO₂は肺から排泄します。HCO₃⁻は腎臓で作ったり、再吸収したり、H⁺を排泄したりします。
ではどうやって調整するか?
肺では、呼吸数を減らすとCO₂の排出が減り酸性へ向かい、
呼吸数を増やすとCO₂の排出が増えアルカリ性に向かいます。
腎臓では、HCO₃⁻の再吸収を増やすとアルカリ性へ、減らすと酸性へ。
H⁺の排泄を増やすとアルカリ性へ、減らすと酸性へ。
このように肺と腎臓で調節します。
病気の時に酸塩基平衡がどのように乱れるか?
・気管支喘息・COPD・呼吸筋麻痺などでは、呼吸機能が低下します。
CO₂が上昇し酸性へ傾きます(呼吸性アシドーシス)
・過換気症候群では、呼吸数が増加します。
CO₂が低下しアルカリ性に傾きます(呼吸性アルカローシス)
・腎機能低下では、HCO₃⁻が作れないし、酸排泄機能の低下で酸性の傾く(代謝性アシドーシス)
・下痢ー腸液の喪失でHCO₃⁻が減少する(代謝性アシドーシス)
胃酸が強酸性なので、中和するために十二指腸からの膵液にはHCO₃⁻が含まれている
・嘔吐ー胃酸の喪失でH⁺の減少(代謝性アルカローシス)
・糖尿病ーインスリン作用不足で細胞が糖質を使えないので、栄養源として脂質・アミノ酸を使うと代謝産物としてケトン体が溜まる。これが酸性物質でH⁺を増やす。(代謝性アシドーシス)原因がケトン体なのでケトアシドーシスという。
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